未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
だけど俺は、その事を悠聖に告げるおそらく最後のチャンスを使わなかった。
そして、俺らの友情にとって致命傷となるであろう一言を言い放つ。
ほんっとにゴメン。
「本気だ」
言った瞬間、涙が出てきた。
もう、後戻りは出来ない。
しばらくの沈黙の後、悠聖は怒りを押し殺した氷のような冷たい声で答えた。
『……そうか、もういい。
……遅くに電話して悪かったな。もうしないから安心しろよ。じゃあな!』
電話が切れ、ツーという電子音がやけに大きく響く。
俺は、大きくため息をついてその場に座り込んだ。
俺はたった今、かけがえのない親友を一人失ってしまった。
自分で選んだこととはいえ辛い。
でも、俺と悠聖が絶交状態であれば、俺から咲雪の病気のことを悠聖が知る可能性は低くなる。
それにしても、あまりにも重過ぎる代価だった。