未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

「……咲雪、そんなの全然我儘に入らないよ!そんなことで少しでも咲雪の不安がなくなるなら、あたしは何時間だって手を握るよ。咲雪が一人じゃ寂しいなら一晩中一緒にいるよ!

咲雪、悠聖先輩が咲雪を見捨てても、あたしは何があっても咲雪の友達だから……

だから……」



茉優の大きな目から涙がぼろぼろとこぼれてくる。


茉優は、ビニールの仕切りの隙間から手を入れて、あたしの手を握ってくれた。



柔らかい手の平越しに温もりと鼓動が伝わってくる。

それと一緒に茉優の二心の無い優しさが。


あたしもすごく嬉しくて涙が溢れてきた。



「茉優……茉優……」



言いたいことはいっぱいあるのに、喉元までせり上がって来ているのに、うまく言葉にならない。



「……ま、茉優……ありがと……本当にありがとう」


「うん」


茉優は頷いて、あたしの手を強く握ってくれた。

正直、少し痛かったけどあたしは嬉しさでいっぱいだ。


本人を目の前にしては、照れちゃってなかなか言えないけど、茉優がいてくれて本当に良かった。



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