未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
あたしが口を開くより先にお母さんがよそ行きの声で答えていた。
「それは大変でしたね。……じゃあ咲雪ちゃん、ちょっと目を見せてね」
そう言いながら、先生は自分の座っているキャスター付きの椅子ごとあたしの方に近づいて来て。
あたしのまぶたの裏を調べ、納得したように何度か頷いた。
「うん。これはかなり貧血がひどいねー。これじゃ倒れても仕方ない。相当だるかっただろう?」
「はい。なんか最近すごく疲れやすくていつもだるいんです」
「そうか。そうだろうね……大変だったね。とりあえず、その貧血の原因がわからないと治療のしようがないからね。今日は血とオシッコを調べてみようか」
先生は机の上の書類によくわからない文字……たぶんドイツ語?でなにやら書き込んでそれをそばにいた長江さんに手渡した。
「長江君、このオーダーでの血液検査と尿検査を実施しますので準備をお願いしますね」
「はい。先生」