未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
長江さんが書類を持って隣室に姿を消し、新嶋先生もカルテを手に立ち上がった。
「とりあえず今日は貧血の薬を出しておきますので……それと、一応栄養剤を点滴しておきましょうね。ちょっとこのままで待っていてもらえますか?」
そう言いながら彼が診察室から出て行った直後、
「だーっ疲れた‼よそ行きの声と仕草は疲れるなぁー」
お母さんが大声を張り上げ、首をコキコキ鳴らした。
「あ、もとのお母さんに戻った」
「うるさいっ‼
でも、よかったぁ。貧血だったんだねぇ。咲雪の倒れ方がえらいオーバーだったから心配したわよ。ほんっとにあんたって子は人騒がせね」
お母さんは文句を言ってるけど嬉しそう。
「心配かけてごめんね、お母さん。それと……ありがと」
あたしがそう言うと、お母さんは妙に照れたように体をくねらせた。