未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

その姿を見た瞬間、圭祐の気持ちがわかってしまった。


圭祐も俺と同じなんだ。

今すぐにでも咲雪の所に駆けつけたいのに、何も出来ないからせめて治療の妨げにならないように必死で自分を鞭打ってこの場から離れようとしているんだ。



「……頼むよ、悠聖」


圭祐が咲雪の為にこの場から離れようとしているのに、俺が我を通すわけにはいかない。



「うう……!」


俺は思い切り歯を食いしばったが、苦しんでいる咲雪の姿が浮かんできて、溢れてくる涙を堪えることが出来なかった。





しばらくしてエレベーターのドアが開き、圭祐が俺をその中に引き込む。


俺は、エレベーターのドアが閉まる直前、咲雪の病室に向かって叫んだ。



「咲雪ぃ!頑張れよ!死ぬなよ‼
俺が、俺がついてるから‼」



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