未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。



「咲雪さん、大丈夫?苦しいのね?」



あたしがやっとの思いで頷くと、看護師の浜木さんは抗癌剤の点滴のスピードを少し落としてくれた。



「ちょっと点滴のスピード落としたからね。今すぐじゃないけど、少しは楽になるから」


「は……い……。吐き、気が……吐き……気が……」


あたしが泣きながら訴えると、浜木さんは洗面器を準備してあたしの上半身を起こしてから、背中を何度もさすってくれた。


「うぐ……うええ……おえ……」



何度も吐こうとするが、何も食べてないので空っぽの胃からは胃液しか出てこない。


それでもなかなか吐き気は治まってくれなかった。



「大丈夫?まだ出そう?」


「たぶ……ん……もう……いい」


「そう?じゃあ、体倒すからね。また何かあったらすぐ呼ぶのよ?」



浜木さんはあたしの体を寝かせて布団を掛け、ナースコールのスイッチを手に握らせてくれた。

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