未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
早速茉優ちゃんが聞いてくる。
悠聖が黙ったままソファに座ってうつむいてしまったので、俺が答えた。
「うん。抗癌剤の点滴が終わる明日までは面会謝絶だから、病室の前までしか行かなかったけどね……。
だいぶ苦しいんだろうな……時々、咲雪の苦しそうな声が聞こえてくるんだ」
「……そうですか。咲雪、可哀想……」
茉優ちゃんは大きな目に涙をいっぱい浮かべている。
「…………」
「悠聖君が元気ないのもそのせい?」
央子が尋ねると、悠聖はうつむいたまま小さく頷いた。
「……咲雪が……あんなに苦しんでるのに、何も出来ない……」
悠聖の足元にポタリ、ポタリと涙の滴が落ちる。
「俺は……咲雪が一番辛い時に、何の役にも立たないんだ……」
俺は悠聖の隣に腰を下ろした。
「……そう自分を責めるなよ。咲雪の病気は誰の責任でもないんだから」
「……でもっ、……やっぱり、悔しいんだよ‼」