未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

「あたし、……まだ、夢を見てるのかな?
……それとも……悠聖が夢から……出て来たの?」


あたしが尋ねると、悠聖は首を横に振り優しく諭すような口調で語りかけた。



「咲雪はちゃんと起きてるよ。それに、俺も夢から出てきたんじゃないよ。
咲雪、俺だよ。本物の悠聖だよ」


「……嘘!?……ほんとに、本物なの?」



まだ半信半疑のあたしの問いかけに、悠聖が力強く頷く。



「ああ。ほんとに本物だよ」


その瞬間、内奥からなにか熱いものがこみ上げてきた。



「……悠聖……」


涙が出てきた。


もう会えないと思ってたのに悠聖が来てくれて、もう十分だ。
もう思い残すことなんて無い。



「……嬉しい。
……ずっと、会いたかった……。ありがとう」


「俺も会いたかった。会えて本当に良かった」



涙で悠聖の顔の輪郭がぼやける。

でも、あたしの手には悠聖の手の温もりがはっきりと感じられた。

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