未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
「ねぇ、悠聖……」
と、咲雪が聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で俺の名前を呼ぶ。
彼女は、俺の顔ではなく、自分に施されている輸血のパックを見ている。
「どうかしたのか?」
俺が聞き返すと、咲雪は俺のほうに視線を移した。
「……悠聖はさ、献血って、したことある?」
「いや、ないけどなんで?」
「うん。献血する人って、どういう気持ちでするのかな……って思ったの。自分の血が誰に輸血されるんだろうとか想像しながらしてるのかな?」
「さあ、どうだろうな。
……咲雪はどう思う?自分に輸血されてるのがどんな人が提供してくれた血液か知りたい?」
俺が尋ねると、咲雪はどっちとも取れる首のかしげ方をした。
「ちょっと知りたい気もするけど、でも、なんだか怖い気もする。
……あたしの体の中に、一体何人の血が流れてるんだろって思うとなんだか複雑な気持ちになるの」