未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
つまり、咲雪の白血病は一時的に骨髄の働きが低下しているのではなく、骨髄そのものが癌化している可能性が高いということだ。
そのままでは咲雪は再び重度の貧血に陥ることが予想されたので、その場しのぎに輸血を続けている。
それが、体にいいわけがない。
咲雪は、来月にももう一度抗癌剤の投与を受ける。
それでも効果がなかったら、咲雪には骨髄移植しか治る道が無くなる。
それなのに、まだドナーが見つかっていない。
「何を考えてるの?」
咲雪がそう言って悪戯っぽく俺の顔を見上げてきた。
知らず知らずのうちに顔に出ていたようだ。
「いや、この間の抗癌剤治療のこと咲雪があんなに苦しんでたのに、全然効果が無かったっていうのがさ……」
この前の抗癌剤治療の結果は咲雪も知っている。
でも、咲雪にはあえて、骨髄が癌化している可能性とか骨髄バンクの登録者にドナーがいないということなどの、わざわざ言う必要の無い情報は伏せてある。