未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
学校から帰ってきてすぐ母に咲雪の検査の結果を尋ねると、ただの貧血だったと知って安心した。
なんで突然咲雪が貧血になったのかが少し気になったが、そんなことはどうでもいい。
俺はその足ですぐに咲雪の部屋に行った。
部屋に着くと、ベッドに上体を起こしてなにやら難しい顔で厚みのある本を読んでいる咲雪。
「何読んでんだ?」
「六法全書」と、咲雪が顔も上げずに答える。
嘘つけ。
「……本当は?」
「大地の子エイラ」
読んだことがないのでコメントのしようがない。
「……ま、それはいいとして、ただの貧血だったんだって?良かったな、大したことなくて」
「まあね。でも、ただの貧血でも結構きついんだよ。お兄ちゃんには理解できないかもしれないけど」
どうも咲雪は機嫌が悪いようだ。