未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
わざと悠聖の口調を真似ると、咲雪は口をへの字に曲げてむすっと黙り込んでしまった。
こうなってしまった咲雪は放っておくに限る。
こっちに罪悪感を感じさせて口を割らせるのが咲雪の狙いなのだ。
今はまだ咲雪に教える時じゃない。
悠聖達3人は、この前やった血液を使った骨髄の適合試験の結果を聞きに堤先生の所に行ったのだ。
この検査で仮にOKが出れば、絶対ではないがかなりの確率で骨髄移植が可能になる。
しかし、駄目だったらそれまでだ。
しかも、不適合の確率のほうが遥かに高い。
だからこそ、俺らはこの検査の結果が出るまで咲雪には隠しておこうと決めた。
咲雪が抗癌剤で治る可能性がかなり低くなり、骨髄移植という手段しか確実に効果が期待できる治療法が無い。
そんな今、ドナーが見つかるまでどれだけかかるかわからないが、それまで咲雪が耐えれるかどうかが咲雪が再び元気になれるかどうかの鍵になる。
そして、それには咲雪の精神力が大きく関係しているのだ。