未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

だから、もし今咲雪に悠聖達が適合試験をしていることを教えたら、咲雪に期待するなと言っても必ず期待する。


それでやっぱり駄目だったりしたら、その時点で咲雪の張りつめている精神力の糸がぷつりと切れかねない。


そんな危険は冒せない。



咲雪と俺の無言の根競べが続く。
先に諦めたのは咲雪だった。



「ところでさ……」


俺が口を割らないと悟ったのか、急に話を変える。


「なんか、久しぶりだよね……。お兄ちゃんとこうして二人で話せるのって」



俺は少し考えてから頷いた。


「……そういえばそうだよな。入院してから俺がここにいる時は大抵ほかにも何人か一緒にいるもんな。最近は悠聖や央子もいるし」


「そうだね。いつも入れ替わり立ち替わりに誰かが来てくれる。……そういうのってすごく嬉しいことだよね。

あたし、おかげで最近は寂しくて不安になるってこと全然ないよ。
午前中はお母さんがいてくれるし、午後からはお兄ちゃん達が来てくれるもん」

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