未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

咲雪はふいに不安げな表情になった。


「お兄ちゃん、お兄ちゃんって呼んでもいいよね?」



咲雪の仕草がまるで雨の中で震えている捨てられた子犬を連想させる。


馬鹿が、何でそんなことをそんなに心配するんだ。
なんでそんなに不安げな表情をするんだ。

お前が、今更他人になんかなれるか!



「当たり前なことを言うなよ。お前は俺の妹なんだから。
血は繋がって無くても、お前はたった一人の俺の大事な妹なんだ。十七年前から、これから先もずっとな」


今の俺にしてみれば、血の繋がりなんてさして重要ではない。


重要なのは、この十七年間、咲雪が俺の妹として重ねてきた時間と絆だけだ。


この二つを否定することは誰にもできない。

このことを、俺はかつて悠聖から教えられた。



すると咲雪は安心したような、それでいて今にも泣き出しそうな表情を浮かべた。



「どうした?大丈夫か?」

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