未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

あたしは目をつぶった。
でも一日中寝てばっかりなので、全然眠くならない。


しばらく目を閉じていたが、一向に睡魔がやってこないので、諦めてもう一度目を開けた。



その時あたしは横向きに寝ていたのだが、真っ白なシーツの上に黒いものが何本も落ちていることに気が付いた。


何あれ?
もしかして、髪の毛!?

背中に何か寒いものが走った。


抗癌剤を使うと髪の毛が抜けるという話を聞いたことがある。

あたしは、急に怖くなった。



嘘!?
髪が抜け始めたの!?

髪が無くなるなんて……そんな、まさか……。



自分の身にもそんなことが起こるなんて信じたくなかったが、あたしは発作的に頭に手をやっていた。


一応、まだ髪の毛があるのは確認できたが、あたしは髪を一房つまんで軽く引っ張ってみる。



するっとなんの抵抗も無く数十本の髪が抜けてしまった。


痛みも何も無く、ただ、一房の髪があたしの指に絡んでいる。



「あ……ああ……」

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