未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
「さてと……」と呟きが聞こえたと同時に、あたしのベッドのすぐ傍にある丸椅子が軋む音がした。
「咲雪、邪魔者はいなくなったわよ。話してくれない?」
あたしは、そっと布団から顔を出した。
央子ネエが丸椅子に膝を組んで座って優しい目であたしを見ている。
あたしは、勇気を振り絞って言った。
「央子ネエ…………あたしの髪、どこかおかしくない?」
「え、なんで?髪がどうしたの?」
央子ネエがきょとんとする。たぶん、演技ではない。
それならやはり今はまだ抜け始めたばかりなんだろう。
「央子ネエ……どうしよう……」
あたしは説明しようとしたが、上手く言葉が出て来ない。
かわりにあたしの目から、一度は治まった涙が再び激しく溢れ出した。
「なにがあったの?泣かないで話してよ」
央子ネエが優しく聞いてくれた。
あたしは、鼻をぐずっとすすって枕元に落ちている一房の髪の毛を指差す。
察しのいい央子ネエがハッと息を呑むのがわかった。
「……抜けたの?」