未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
堤先生が医療チームの一人に何事か指示すると、その人は軽く頷いて放射線発生装置のスイッチを切った。
一体どうしたんだろう。
咲雪は今回は何も合図はしていない。
俺と圭祐は思わず顔を見合わせた。
咲雪の体に何か異変が起きたのか?
堤先生が俺達の方に向き直る。
普段、あまり表情が変化しない堤先生の顔には紛れも無い満足げな笑みが浮かんでいる。
もしかして……。
「咲雪さんはよく頑張りました。これから無菌室に移動します」
「それはつまり……」
圭祐が何か言いかけると、堤先生は大きく頷いて言った。
「放射線の照射は終了です」
一瞬の間をおいて喜びが浸透してゆく。
「やったよ。咲雪は頑張れたんだ‼」
「あいつならやれるって信じてたよ!」
一時間近くにわたる放射線の照射をついに咲雪は耐え抜いたんだ。
俺と圭祐は嬉しさのあまり、お互いの背中をバシバシと叩き合った。