未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
央子が震える声でそう答えて、茉優ちゃんをしっかりと抱き寄せた。
茉優ちゃんの泣き声が小さくなる。
時折ふーっと唸るような声が聞こえるのは、溢れてくる感情を抑えているのかもしれない。
俺が目のやり場に困って圭祐を見ると、圭祐はなにやら呆けたように央子を見つめていた。
「圭祐」
「…………」
反応が無い。
俺はもう少し大きい声で呼びかけた。
「圭祐‼」
「……お、おう。何だ?」
圭祐が慌ててこっちを向く。
「咲雪のところに行こう?」
「そだな」と圭祐は頷いて、茉優ちゃんのそばにしゃがんだ。
「茉優ちゃん、咲雪のそばに行こう?きっと喜ぶから」
茉優ちゃんはびしょびしょの顔を上げ、微笑みを浮かべた。
「大丈夫?立てる?」
央子がそう言いながら茉優ちゃんに手を貸して立ち上がらせる。
俺達が外に出ると、咲雪は既にストレッチャーに乗せられて廊下に出ていた。
「咲雪‼」
俺達は急いで咲雪の傍に駆け寄った。