未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
咲雪は、さっきよりずっと顔色が悪い。
しかし、それでも咲雪は俺の姿を認めると、誇らしげに小さくガッツポーズをして見せた。
「……どう?頑張ったでしょ」
マスクを通したやっと聞こえるぐらいの声で、咲雪は偉そうに言って胸を張る。
どう?じゃないよ。なんでそんなに……
「………馬鹿。頑張りすぎだよ」
俺はそう言いながらまた泣きそうになったが、腹に力を入れて泣くのを堪えた。
「……本当に、本当によく頑張ったな。咲雪はえらいよ。俺、見てて泣けてきた」
やっとの思いでそう言い終える俺に、咲雪は満足げに微笑んだ。
「咲雪……」
茉優ちゃんが咲雪に近づく。
彼女も泣きそうになるのを一生懸命に堪えているようだ。
「茉優」
咲雪が嬉しそうにすぐそばに立った茉優ちゃんを見上げる。
「さ、咲雪、体の調子はどうなの?」
「気持ち悪い。今もすごい吐き気がする……でも、茉優達が、応援してくれてたから頑張れた」