未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

俺が売店で食べ物と飲み物を買って戻ってきた時、病室には咲雪の他には悠聖一人しかいなかった。


ちなみに、父は明日も仕事が早いので一人で先に家に帰り、茉優ちゃんは母が家まで車で送って行ったし。

央子は、病院の別の階に入院している。



「……咲雪は寝たのか?」


俺が買ってきたものを渡しながら小声で悠聖に尋ねると、悠聖は頷いて小声で答えてきた。



「ああ。つい今しがた眠ったばっかりだ」


「……央子も、もう寝たのかな?」


「さあ?でも明日の為に早く寝るとは言ってたよな」



咲雪の放射能照射も無事に終わったから、次はドナーである央子から骨髄の摂取が行われる。


央子も数日前から入院して、明朝の骨髄採取手術に備えて体調を整えていた。



骨髄の摂取手術は局所麻酔ではなく、全身麻酔なので体の機能をかなり低下させる。


しかも骨盤に百箇所もの穴を開けて骨髄を採取するのでドナーの体にかなりの負担がかかり、時には万一の危険さえあるのだ。

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