未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
央子がまだ濡れている瞳で俺の顔を見上げてくる。
そんな彼女をずっと守ってやりたいという強い願いを胸の内に感じながら、しっかりと頷いた。
「……ありがとう」
央子は泣きながらそれだけ言って、再び俺の胸に顔を埋める。
俺はちょうど目の前にある央子の髪を優しく撫でた。
微かにシャンプーの匂いが漂う。
と、その時、央子の手が遠慮がちにそっと俺の背中に回され、柔らかく包み込むように俺を抱きしめる。
この仁美の行動に俺はかなり驚き、それと同時に央子が異性であることを強く意識した。
心臓の鼓動が、息が苦しくなるほどに激しくなってくる。
頼むから落ち着いてくれよ心臓‼
しかし、俺の願いは虚しく、心臓はますます早鐘を打つようだった。
「圭祐の心臓の音、すごく速い」
俺の胸に耳を押しつけるようにして、央子がなんだか嬉しそうに囁く。
央子に知られたことが恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。