未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

「こんな状況で嘘なんか言わないわよ。
……あたし、ずっと圭祐君のことが好きで、あなたのことを見てた」


央子にそう言われて、俺はかえって困ってしまった。



「どうしたの?」


「うーん……なんか、すごく嬉しいんだけどさ、なんてゆうか複雑な心境。
ショックが大きいってゆうか、時間を無駄にしたっていうか……」



なんだかえらく遠回りをしてしまった時の様な脱力感を感じる。

そんな俺を見て央子が吹き出し、俺もつられて笑ってしまった。



やがて、央子が猫が甘えるような仕草で俺に身を寄せてきて、俺も彼女をもう一度抱きしめた。


央子の上気して朱に染まった顔がすぐそばにある。

彼女は無言で俺を見つめ、あごを少し上げてすっと目を伏せた。



央子の背中に回していた右手を上に滑らせて彼女の頭に添え、央子が微かに息を洩らしたその唇に自分の唇をぎこちなく押しあてた。

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