未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
骨髄移植が終わったのは、もう日もだいぶ傾いた頃。
俺は、疲れて眠ってしまった咲雪を病室に残して、圭祐に骨髄移植が終わったことを知らせに行った。
俺がちょうどそのことを圭祐に伝えた瞬間に、まるでタイミングを計っていたかのように麻酔が切れて目を覚ました央子。
央子は、二・三度瞬きをして圭祐の姿を認めると、会心の笑みを浮かべて言った。
「終わったのね?」
そう、ずっと待ちわびていた、骨髄移植がついに終わったのだ。
央子から咲雪に移植された骨髄幹細胞は、静脈から咲雪の全身を回っていき、空っぽになった咲雪の骨髄に根を下ろす。
そしてそこで骨髄幹細胞は増殖を始め、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞を造り始める。
俺は、もはや何も心配していなかった。
咲雪はこれで良くなると信じて疑わなかったから。
他のみんなの気持ちも同じだっただろう。
だけど本当は、咲雪はこれからが一番大変らしい。
しかし、俺はそんなことは知らなかったのでただ素直に嬉しかった。
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