未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。



「ねえ、起きてる?」

 
自分のベッドより少し低いパイプベッドに寝ている悠聖に、そっと声をかけた。


あ、もう寝てるっぽい。



「……ん。ちょっとうつらうつらしてた。
どうした?眠れないのか?」
 

悠聖がごそごそと動く気配があって、小さい黄色いライトがパッと点く。



ぼんやりとした灯りの中、あたしの枕元のスケッチブックと、ビニールの仕切りの向こうに上半身を起こした悠聖の姿が浮かび上がる。



「ううん。眠れないんじゃなくて眠りたくないの。なんだか眠るのが勿体無いような気がして……」
 

半分は本当で半分は嘘だ。


不安で寝付けなかったことも確かで、実のところ眠るのが怖い。

眠って、そのまま死んでしまうのが怖い。


骨髄移植も成功したし、体調も良くなってきてるのに何故こんなに不安なんだろう。
 


悠聖はしばらくじっと何かを探るような表情であたしの顔を見つめていたが、彼の口元にふっと薄く笑みが広がった。

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