未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

「じゃあ見せて?」


えーと、ちょっとまだ恥ずかしくて見せたくない。



「今は駄目」


「今がいい」


悠聖が食い下がってくる。
あたしは、スケッチブックを自分の体の後ろに隠した。



「今は駄目」


「ケチ」


「未完成だからまだ見せたくないの。完成したらちゃんと見せるから。

……そう!退院までには完成させるから!うん」


悠聖が拗ねたように口を尖らせる。


そんな顔しないで!
マジで恥ずかしいんだから。



「わかったよ。でも、出来上がったら見せてくれよ?」


「うん。この絵は悠聖にあげる絵だから」


「あ、そうなの?」


「あっ……‼」



口が滑った。
後悔したけど後の祭りだ。


悠聖がすっごく嬉しそうな顔をしている。



「楽しみにしてるからね」


「……うん、頑張ってみる。

……ねえ、悠聖はもう一週間で卒業なんだね。早いよね」
 


あたしが無理やり話をすりかえると、悠聖は一瞬きょとんとした。

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