未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
「ああ、そういえばそうだった」
悠聖が指を折って数える。
「忘れてた?」
「忘れちゃいないけど、とりあえず記憶の隅に追いやってたからうまくシナプスが繋がらなかった」
「あはは……。でもあたし、悠聖やお兄ちゃんや央子ネエの卒業式に出たかったな」
あたしはまだしばらく無菌室から出られない。
そんなあたしを悠聖が不器用に慰めてくれる。
「まあ、俺らの卒業式には出れないけど、その代わりに咲雪の卒業式の時には俺と圭祐と央子がちゃんと行くからさ。そんなに落ち込むなよ」
別にそんなに落ち込んではいないのだけど、悠聖の他意のない優しさが嬉しかった。
「一週間後かぁ。
……あれ?……今まで聞くの忘れてたけど、悠聖は卒業したらどうするの?進学?就職?」
少なくともあたしは、悠聖が就職活動をしているのも、受験勉強をしているのも見たことがない。