未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
学校に行く前に咲雪のところに集まった俺たち。
その日、咲雪は朝から少し咳をしていた。
咲雪は、俺たちの卒業式に出られないことをしきりに悔しがっていたのだが、こればかりはどうにもならない。
「さっさと治さない方が悪い」
咲雪が順調に回復しているからこそこんな軽い調子でからかえるのだが、俺がそう言うと咲雪はぷうっと不満げに頬を膨らませた。
「しかたないじゃん。……気ははやっても体のほうがいうことを聞いてくれんのじゃ。全く、最近の若い者ときたら、病人をもっと優しく扱えないのかい?」
一体、どこから仕入れたネタだ?
俺が呆れていると茉優ちゃんが吹き出した。
「なによ咲雪ぃー。ばばくさー」
「どーせあたしはばばあだもん。
ねー、茉優センパイ」
ことさらセンパイという言葉に力を込める。
咲雪は、出席日数が足りないので留年が決定しているのだ。