未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
咲雪の悲観的な態度が、俺は悔しくて……
悔しくて堪らなかった。
握り締めた拳に熱い雫がポツリポツリと落ちてはじける。
俺は、ひたすら歯を食いしばった。
口の中に鉄の味が広がる。
どれだけ時間が経っただろう。
自分の足元に目を落として黙りこくっていた俺に、咲雪がおずおずと声をかけてきた。
「あの……ごめんなさい。あたし、なんでこんなこと言っちゃったんだろ。なんか気が動転しちゃって……」
顔を上げると、咲雪の顔には何の表情も浮かんでいなかった。
まるで、鋼鉄の仮面を被っているようだ。
きっと、さっきの咲雪の言葉こそ彼女の本心からの叫びだったんだろう。
決して、気が動転してたのではなく、彼女の心の奥底にあった感情があふれ出したに違いない。
しかし、彼女がそこまで不安を抱えている理由がわからない。
骨髄移植も成功してあとは回復を待つだけなのに。