未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

その全てが、俺の目にはまるでスローモーションのようにゆっくりと映る。

 
一体何が起こったのか。
俺には一瞬理解できず、ただ思考が真っ白になってしまった。



「咲雪ぃー‼」

 
叫んだ瞬間、全身の感覚が戻ってくる。


無我夢中でベッドのビニールの仕切りをめくり飛ばして咲雪に駆け寄った。



咲雪の体を抱いて仰向けにすると、彼女は焦点の定まらない目で俺を一生懸命に見ようとしながら血だらけの唇を動かして繰り返した。



「……あたし、生きたいの……あなたと……信じて……」
 

俺はもう無我夢中でナースコールのボタンを押し続けた。



『……はい。どうしましたか?』


「は、早く‼早く来てください‼‼
さ、咲雪が……咲雪が‼」
 

インターホンに向かって大声で叫んだ。
 

早く!早く来てくれ!

咲雪が、咲雪が死んでしまう‼
 

俺は意識を失った咲雪の体を思い切り抱きしめた。



俺の耳には廊下を走って近づいてくる複数の足音が聞こえてくる。

 
早く!早く‼

俺は心の中で叫び続けた。



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