未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
それからどれぐらいの時間が過ぎただろう。
10分ぐらいかもしれないし、1時間ぐらいかもしれない。
そして、やっとICUのドアが開き、堤先生が出てきた。
「先生‼咲雪はどうなったんですか!?」
みんなが堤先生に詰め寄り、同じ意味の質問を繰り返す。
堤先生は、泣きそうな表情で弱々しく言った。
「我々も、手を尽くしました。しかし……」
嘘だ。嘘だろ!?
なんだよ、そのすべてを諦めたような言い方。
「人間のすることに完璧というものはありません。どんなに入念に検査が施されていても、血液製剤の使用にはかなりのリスクが伴います。
……いつ感染したのかは特定できませんが、咲雪さんはサイトメガロウイルスに感染して肺をやられています。
この輸血を介して感染するウイルスに対する有効な治療薬はまだ発見されていません。
咲雪さんの体力も免疫もあまり回復していないので………もはや、我々には、手の施しようがありません」