未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
エピローグ
俺は、そっと咲雪の形見であるスケッチブックを閉じた。
もう、15年も昔のことなのに。
スケッチブックを開く度に、あの頃の情景がまるで昨日のことのようにはっきりと思い出される。
あの頃の思い出だけは、15年の歳月を経ても未だ色褪せてはいない。
思えば、咲雪の死から色々なことがあった。
圭祐と央子は、高校を卒業してからユニットを組んで音楽活動を始めた。
音楽を通して、一人でも多くの人に生きる希望と命の大切さを伝えることがその狙いだった。
二人は、最初こそライヴハウスで時々演奏する程度だったが。
癒しを求めていた多くの人に受け入れられ、支持されて、1年も経たないうちに【bloomsnow-ブルームスノウ-】というグループ名でメジャーデビューした。
そして、俺が日本を出た頃には既に日本の音楽シーンを代表する存在といえるほどの成功を収めていた。