未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
甘えたい年頃なのに、いつも一緒に居て上げられなくて本当にごめん。
「いい子だ。帰ってきたらたくさん遊んであげるからな」
せめてもの罪滅ぼしに彼女の小さな体をぎゅっと抱きしめてやる。
「うん。パパもアスランも気をつけてね」
「ああ」
俺が頷くと同時に、アスランがジープを発進させる。
手を振るサユキの姿は、すぐに砂塵に紛れて見えなくなった。
街を出て砂漠の道に入ると、後はひたすら単調な道が続く。
眠気覚ましのためだろう、アスランがカーラジオのスイッチを入れた。
雑音がかなり入る。
「砂漠じゃ無理じゃないのか?」
「前は、聴けたんだがなあ」
選局しているうちに雑音のほとんど入らない曲が見つかり、アスランは満足そうな顔をして前を向き直った。
DJのしゃべりは早口だし地方の訛りも強いのでとてもじゃないが聞き取れない。
しかし、その中に【bloomsnow】という単語を聞いた気がして、つい反射的に聞き耳を立ててしまった。
やがて、ピアノのイントロが始まる。