未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
電話の向こうで悠聖がくしゃみをする。
そう言えば、彼は今お風呂に入っていたんだった。
「あ、ごめんね悠聖、あんまり長くしゃべってたら湯冷めしちゃうよね。もう切るよ?」
『ああ。電話してくれてありがとうな。それと、皆さんによろしくお伝えクダハイ』
悠聖は鼻声でそう言って、もう一度くしゃみをした。
これはもう急がなくちゃ。
「それじゃね、悠聖。おやすみー」
『うん、また明日。お大事に‼』
愛しい人の声が途切れ、スマホ同士の接続が切れる。
たったそれだけのことなのに、彼とあたしの距離が急に遠ざかったような気がした。
家族のいるダイニングキッチンに戻ろうとして、そのドアに手を伸ばした瞬間、中で話される会話が聞こえてきた。
「母さん、嘘だろ?」
どこか呆けたようなお兄ちゃんの声。
それに答えるお母さんの声もどこか元気がない。