未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
「あとで俺のノートを写さしてやるよ。今日は急ぐんだろ?早く行けって」
おおうっ‼何ていい奴なんだ。
悠聖が一瞬神様に見えた。
「悪りっ、恩に着る」
悠聖を片手で拝みながら、リュックを片手に教室を飛び出した。
二階から駆け下り、靴を履き替えながら玄関を飛び出す。
そこでちょうど自転車小屋から自転車を引き出していたクラスメイトの桑谷央子(クワタニ ヒロコ)とぶつかりそうになる。
「きゃあ‼」
「わっとと。央子、ごめん‼急いでたから」
「ああ驚いた。圭祐君ったら何をそんなに慌ててるのよ?」
「3時45分の電車に乗り遅れたらやばいんだよ。じゃな‼」
央子にそれだけ言って駅に向かって走り出す。
走ってもあと10分後の電車に間に合うかどうかわからない。とにかく走るしかない。
ふいに、後ろからチリリンと自転車のベルの音が聞こえてきた。
央子が追いかけてきたのだ。