未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

泣いてても駄目じゃん。

泣くの止めようって何度自分に言い聞かせても、この悲しみを和らげるどころか、ますます絶望感に打ちのめされるだけだ。



お兄ちゃんが隣の椅子から立ち上がる気配がして、程なくして清潔なフェイスタオルをあたしに差し出してくれた。



「…………」


黙って受け取り、それに顔を埋める。


涙が徐々に染み込んでいくそのタオルからはお日様の匂いがした。



 

家族はあたしが泣き止んで落ち着きを取り戻すまで、一言もしゃべらずにただ待ってくれていた。



そんな家族の優しさと気遣いを全身で感じながら、あたしは今自分が確かに生きていること。

そしてこれからも生き続けたいと思っていることを強く感じた。



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