未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
4限目の終了のチャイムが鳴り、非常勤講師の数学の守屋先生、通称『守じぃ』は、まだ公式の説明の途中なのにチョークをしまう。
参考書を片付け、ポソッと「以上」とつぶやいて、そそくさと教室から出て行った。
途端に教室がざわつき始める。
「守じぃったら何よあのおっさん。こんな中途半端なとこで中断なんてさー」
「しゃーねーんじゃねーの?あの人は時間給の人だし」
「でもっ次の授業まで覚えてられる?公式のあの部分まで」
「そんときゃ守じぃにもう一回初めっから説明してもらえばいいじゃん」
「そやそや。だいち昼休みまで延長せえへんのは最高やん」
「…………」
俺はクラスメイト達のおしゃべりを聞き流しながら、黒板に途中まで書かれている公式をノートに書き写す。
書き写しながら、俺は咲雪のことを考えた。
咲雪は貧血で四日も学校を休んだ。
見舞いに行った時は元気だったけど、今日は大丈夫なのか?