未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

あー、なんか俺、今日はやたらと人のタイミングの悪い場に居合わせるような…………。



しばらくの沈黙の後、圭祐が呟く。


「まったく、お前って奴は……」


「なんだよ?」
 

俺が聞き返すと、圭祐はちょっと考えてから答えた。



「……なんでもない。
言っとくけど、今日の俺はちょっと落ち込んでただけだからな!でなきゃこんなことで泣いたりしない」

 

圭祐の強がる声に少し笑ってしまった。


圭祐らしい意地の張り方だ。
だけど、俺には圭祐の気持ちがよく理解できる。



「わかってるよ。誰だって弱くなる日はあるさ。だから、気にすんな」

 
俺がそう答えると、圭祐は口元だけで笑った。



「お前がいてくれて良かったよ。だいぶ気が楽になった」


「ならいいけどな」
 


圭祐が元気になったようでホッとした。


圭祐が最近元気がなかった理由については結局聞けなかったが、気が向いたらいつか話してくれるだろう。

< 86 / 403 >

この作品をシェア

pagetop