常世(とこよ)の花嫁様

プロローグ

雨のルール

カラン、コロン…
紺の着物に下駄姿
結構年配な男性が勢いよく歩いてくる


男性『おっと、ゴメンよ、嬢ちゃん！』

私めがけてぶつかりそうになるが、寸前の所で男性はヒラリと身をかわした
～～～
ふわっとお線香の香りが微かに鼻をかすめる


男性『あぶねぇよっ』
トーンの低い、いい声が響いた。。。渋い
着物って今時、珍しい…のかな…？もしかして…

ん？あれ？
ヌルッとした足元…その瞬間！！！
ツルっ！ステンっ！

「あれ！？」ドスっ！！！
その時、私の膝に鈍い痛みが走るーーー
痛っ、、、
今日の外の空模様は雨、
どんくさい私はオイルと雨水でヌメっている床で滑って転んでしまったのだ

…ざわざわとその場がどよめく…
客『…何あれ？…こけてるしっ』
客『あんまり見たら、可哀想だよ…』

ランチタイムを少し過ぎてはいるが結構な人の入用で、注目の的となってしまっている事実に恥ずかしく、慌ててエプロンの裾を軽く叩いて立ち上がった

客『…。。。』
チラッと周囲の反応を伺うも、…とても恥ずかしい。。。


「いえっ！私の方こそ、すいません、お客様！」
よけてくれたのに、勝手に転んだのは私のせいなのだから、相手の人に申し訳ない…

若干赤面しながら、慌てて振り返り笑顔を作って、見せた…

男性『あぁ、すまねーな。？嬢ちゃんは、もしかして、見える子か？』

そう言って目の前の男性は
シワシワの顔をクシャっと歪めて笑うと、
男性『わりぃわりぃ…じゃーな』

嬉しそうに、だけどどこか寂しそうにすぅーと消えていった

………。。。
...あー、またやっちゃった