常世(とこよ)の花嫁様

私の日常

~橋本家~と書かれた表札を潜って家のドアを開ける

塔子「ただいまー!」

『…おかえり、塔子ちゃん!あら、今日は少し早いわね?』

ニッコリと優しく迎えてくれる女性は、エプロン姿が良く似合う美人さんーーー


この人は、私の今のお母さんで珠子(たまこ)さん39才。。。彼女は20代でも通用する程若く見える


7歳で施設に入って、数ヶ月後に養子として私を引き取ってくれた、とても心の優しい人だーーー


塔子「今日は、バイトで少しミスしちゃって...。それで、あの、、、」

少しでも、私を養ってくれている両親にお返しがしたくて、最近ファミレスでバイトを始めたのだ、、、


《あぁ、おかえり塔子ちゃん!》
心配をかけるのは嫌だな…と、本当の事を言おうか躊躇っていたら、台所からひょっこり顔を出したのは
私の養父にあたる、義雄(よしお)さんである

義雄《珠子ぉーーー!!!早く!!急いで!!今すぐに!!救急箱を持ってこーいっ!!!!》

物凄い勢いで滑り込んでくるーーー
この男性はリーゼント頭がなかなか様になる
ちょいワル親父ーーー42才

珠子『あらあら…あなた、なーに?急に…』

きょとんとした母は、戸惑いながらも、救急箱を探して持ってきてくれる

塔子「……???」

義雄《塔子ちゃん、今すぐ膝を珠子に見てもらいなさいっ!!!》

ーーーもしかして!?

塔子「…お父さん、見てたの…?」

恐る恐る問いかけながら、ズボンをまくって痛めていた膝を見せようとしたーーー

!?痛いっ!?
激痛が走るーーー
ずっと放置していてジーンズに傷口が張り付いていたーーー


珠子『まぁ、擦りむいてるじゃない。。。ちゃんと手当しなきゃダメよ。。。』

私は、彼等に、本当の事を秘密にしている。。。
見える事は、いい事よりも悪い事の方が断然多くて、、、辛い思いを心優しい彼等には、して欲しくなかったからーーー


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