常世(とこよ)の花嫁様
そして数ある人形の中から別の一体の菊人形が私の方に飛んできて話しかける

塔子「…」何でこんな事をするのか問いたいけど、目で見つめる事しか出来ない

人形『私は人形に魂が宿った妖、咲江(さきえ)
ここにある人形達は、全て意思を持って生きている』

クスクスと笑い声があちこちから聞こえていたのは、彼らがそれぞれに発している声だったのか

咲江『泥棒さん、さぁ、返しなさい』

塔子「ーーー?」
咲江『貴女の事はこの千里鏡で一部始終見ていたわーーー貴女の持つ力ーーーそれは、我等が主のモノ』
手元には、人形サイズの小さな手鏡
ナレ【千里鏡とは、結界師のダルマ妖術と同じく、離れている物を見ることが出来る、妖力の宿った魔鏡である!どこにも販売されていないよ!!レア!!とってもレア!!】

主?何を言っているのか…この人形の意図がわからない

咲江『主はもうすぐお目覚めになられるの。その時に、貴女がそれらを持っていては、主がお可哀想でしょ?』
『泥棒...』『返せ』『主の力』

私の声を封じているという事は、服従を恐れての事と言うのはわかる…だけど何だろう…さっきから異様に感じる、執着というか、怨念めいたモノは、、、一体?

咲江『素直に貴女自ら返すのならば、命くらいは取らないでおいてあげる…さぁ、どうする?イエスなら頷きなさい。ノーなら首をお振りなさい。よく考えて返答するのね』

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