常世(とこよ)の花嫁様
私は紙に治癒と書いて夜鬼の大きな背中に貼ってみる

…、、、。。。

塔子「ーーー?何で?」
何も起きない、

私は、目の前の傷から滲み出る血を必死で拭った


夜鬼『お前、力の使い過ぎ…、だから、大人しく寝てろ…な?俺も、寝るわ...今日は、お前のとこには...入んねーから、安心…し、たら?ふふ…』

傷だらけで震える夜鬼の背中を抱きしめるーーー

ずっと気になってた

夜鬼の身体は、傷痕が凄く多くて、妖力とかであっさりなおせちゃうのにーーーどうして?て、、、それって多分、人間と同じで、すぐに治したり出来なくって、受けた傷や、負った傷、全てそのまま痕が残ってたんだね

塔子「…1人で、いつも、こうして、震えて、眠ってたの...?」
夜鬼『こういう時に、誰かを頼れる程、、、俺は器用じゃないから』
塔子「私は、夜鬼の何にも役に立てないね」
夜鬼は私の傷をいち早く治してくれるのに
私は肝心な時に傷1つ何とかしてあげる事すら出来ない...

夜鬼『じゃあさ、ずっと、俺の傍に居て』

彼の心音か、私の心音かよく分からないくらい
彼を後ろから密着して抱きしめると聞こえてくる音ーーーどんな表情をして言ってくれたんだろう?

塔子「...うん」

いつもは別々のベッドに眠って、朝になったら、何故か夜鬼は私の隣りにくっついて、子犬みたいに眠っていたーーー

気付かなかったけど、夜鬼は、私に触れていたかったのかな?

ーーー私は、欲張りかもしれないけど、夜鬼と、もっと、もっと、触れていたいーーー

自分から、初めて夜鬼に寄り添った

夜鬼『塔子。お前を抱きたいよーーー』

気が付けば、夜鬼は、私の上に乗って、私の手に自分の手を重ね、見下ろしている

なんだろうーーー全然、嫌だと、感じない

じっと見つめられて、頬が熱くてーーーだけど、視線を逸らすことが出来なくて、

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