常世(とこよ)の花嫁様
夜鬼『二度は言わねぇ。。。返せ。。。』

ギロりと睨みを効かされたカエルは、息を飲み込んだように硬直すると、ぶるっと一度身震いして、、、頷いた

ーーーその途端、蛙の体を夜鬼はポイっと解放したーーー


そして、私の前までトボトボとやってくる


蛙『…約束だって思いたかったゲコ。。。
分かってたけど、塔子とまた遊びたかったゲコ。。。ーーー怖い思いさせて、ごめんゲコ。。。』


借りてきた猫みたいに、蛙は私の前でぺこりと頭を下げるとーーー


トンっーーー


自分の心臓あたりを軽く小突いた


ーーー柔らかな光が、蛙の手からこぼれ出るーーー


蛙『お返ししますーーーゲコ』


その掌をゆっくりと開いたら…そこには、、、小さなピンクの飴玉がーーー


塔子「…何?この飴玉…?」


夜鬼『それは、お前の力の一部だ』

サクが袋の口を少し緩め
なんとかそこから手を伸ばして、それを掴んだーーー


夜鬼『食べろ』
そう言われて、私はそっと飴玉を口に含んだ


すると、、、何だか不思議と懐かしい味がした
力が、みなぎってくるような、、、不思議な感覚、、、


~~~


そう、これは、あの時、蛙がくれた樹の実の味だーーー


夜鬼『これで、契約は解消されたーーー

沼野 下戸彦(ぬまの げこひこ)

お前は自由だーーーどことなりでも好きに行くがいいーーー』


そう夜鬼が美しい歌を奏でるかのように言い放ったーーー


私の、前に立っていた大蛙は、、、出会った頃の、、、牛蛙に姿を小さく変えていく


蛙『ありがとう…塔子…さようなら…』


小さな声で…消え入るように言葉が聞こえて、蛙の姿は薄れて消えていったーーー


塔子「さようなら…
あの子、、、
何処へ消えたのかな?」


リン『元の居るべき場所に戻ったんですよ』

と、リンは言ったーーー


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