【続】Slow Magic~その後の2人~
母親が家を出たのは、俺がまだ小学生の頃だった。
俺は世の中の汚い部分を見てしまった。
人間には、表と裏があること。
笑っていても、その笑顔には何か隠されていること。
優しい言葉をかけてくれる人を信じて、何度も裏切られた。
友達のお母さんが、俺の母親のことを
影でいろいろ言っていたこと、俺は知ってる。
人は、信じちゃいけない。
俺は、無理矢理自分にそう思わせることにした。
だってさ、裏切られて悲しむ前に、信じない方がまだ楽だ。
だから、俺は外見や、うわべで人を好きにはならない。
時間をかけてゆっくりと…
そんな俺を理解して、信じさせてくれたのが
俺の隣にいる、この彼女。
美亜だ。
「うぜーよ、お前。」
こんなことを言う俺に、笑顔を向ける。