エリート上司の甘い誘惑

急に東屋くんが言い寄って目立ち始めたから、尚更惜しくなった部分もあるんだろう。
もしかしなくても、業務上の敵対心も含まれているのだと思う。


「違うって、そんなんじゃ」

「違わない」

「さよ!」

「触んないで気持ち悪い」


伸ばされた手を、強く叩き落とした。
途端に園田の顔つきが変わる。


「このっ……」


頭にきたのか、乱暴に肩を掴まれた。
殴られるのかと思い一瞬身体が怯んだが、怒りの方が勝っていた。


こんなやつに怯えた顔は見せたくないし理不尽に屈服もしたくない。
私の方こそせめて一発、応戦くらいはしてやろうと強く拳を握る。


もう知るもんか、他の誰に知られたって騒ぎになったって構わない。
ぎっ、と強く園田を睨み足を踏ん張って、横殴りの体勢で拳を振り上げたその時だった。


その後ろに立った人影に気が付いて、ぽかんと表情は崩れた。
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