エリート上司の甘い誘惑
両手で口元を隠し俯いた。
そうでもしないと、思いが零れてしまいそうだ。
ああ、でも。
もう、溢れて零れてしまっても、構わないのか。
「……です、」
擦れて消えてしまったから、もう一度。
「好きです、部長」
言葉と同時に、力が抜けた。
力が抜けたら、また泣けてきた。
安堵の溜め息を受け止めた自分の手が、微かに震えていたことに気づく。
耳に触れていた部長の手が、髪を撫でながら後頭部に回される。
やっと、聞けた。
部長のそんな声がして、柔らかく、だけどしっかりと、頭を抱き寄せられた。
ホワイトレディはその日、最後までは飲ませてもらえなかった。