エリート上司の甘い誘惑
慌ててファイルを開いて確認する。


まだ何も手を付けてない……けど、大丈夫。
それほど難しいことじゃない、データは整理出来てるし、それを伝わりやすいように資料に起こすだけ。


見積もりは?
営業から経理に頼んどくって言ってくれてた。


時計に目を走らせて、頭の中で資料作成にかかる時間を計算した。
かなりギリギリだ。


誰かに手伝ってもらう?


いや、大丈夫。
残業にはなるけれど、終電……遅くても明日朝までには間に合う。


終電に間に合わなければ、帰りはタクシーか。


家までの距離をタクシーとなるとかなり痛いが、仕方ない。
仕事仕事、と集中してるつもりで雑念を追い払いきれなかった、その報いだ。

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