エリート上司の甘い誘惑
朝礼はいつも大体同じ流れで、部長のその日の外出や会議で席を外す予定の確認と、連絡事項程度でさらっと終わることが多いのだが。
今日の朝礼の最後に、今度のシステム課のシェアリングに部長と一緒に出席するように、なぜか私が指名された。
部長の機嫌が悪かったのは、これもあったのか、と一人納得し頷く。
現在のシステムの仕様変更で間違いないだろう、と部長が言う。
スムーズに行われれば良いけれど、業務が変わる時というのは大抵、慣れるまで混乱することが多い。
そのシェアリングもどうやら長時間になるようで、その日大きな取引先への同行がある高見課長の代わりに私が、ということだったが。
システム課のシェアリングって。
難しそうなんだけど、私が出席して解るのだろうかと不安でいっぱいだ。
自慢じゃないけど、ある程度パソコンを使い慣れてはいてもシステムに関しては全く無知だ。
一日の業務を終え、うきうきと何か話したそうな望美に捕まり、連日で居酒屋ご飯となってしまった。
といっても私は昨日の反省もありウーロン茶にしてあるが、望美はお構いなしにチューハイをぐびぐびと空けている。
話題は当然、今朝の出来事だ。
「そんなん、東屋くんがさよに気があるなんてもうとっくに周知の事実じゃない」
「知らないよ。いつからよ。なんでそうなってんの」
「さー。いつ頃からだろ? 最近とくに、東屋くんさよにべったりだったし。気づいてなかったのアンタ本人くらいだと思うよ」
望美がケラケラと笑った。
私達に向けられたあの微笑ましい視線の理由を知り、愕然とする。
同時に、ぼぼっと火がついたように顔が熱くなった。