イケメン御曹司のとろける愛情

　そりゃ……まあ、あんなふうに突然帰ったら電話をかけてくるものなのかもしれないけど……。

　私がなにも気づいてないとでも思ってるのかな？　ずいぶん安く見られたものだ。

　ムカムカして腹が立ってきて、翔吾さんの番号を着信拒否設定しようかと考えたとき、またスマホに着信がある。

　ビクッとして画面を見たら、今度は知らない番号が表示されている。〇三で始まるから固定電話だ。仕事関係かもしれない。

　深呼吸して気持ちを整えてから通話ボタンにタップした。

「もしもし」

　少し警戒するような声になってしまったが、通話口からは低くて柔らかな男性の声が聞こえてきた。

『山本奏美さんのお電話ですか？』
「はい」　

　誰だろう、と思う間もなく相手が名乗る。

『アンバー・トーンのオーナーの三好です』
「ああ、三好さん！」

　私はホッとして話を続ける。

「先日はお世話になりました」

　電話を耳に当てたまま、ついお辞儀をしてしまう。

『いえいえ、こちらこそ。今、お時間大丈夫ですか？』
「はい、大丈夫です」