イケメン御曹司のとろける愛情
『樋波さんのライブは毎週金曜日なので、山本さんにはできれば月曜日と水曜日にレギュラーでお願いしたいんです』
「ほ、ほほ、ホントですか!?」

 週に二日もなんて! 嬉しすぎて興奮しすぎて、舌がちゃんと回らない。

『スケジュールはいかがでしょう?』
「も、もちろん大丈夫です!」

 落ち着かなければ、と思うのに、つい前のめりになって早口で答えてしまった。三好さんの笑みを含んだ、でも、人当たりのいい声が返ってくる。

『それはよかった。詳しいお話をしたいので、一度アンバー・トーンの事務室までお越しいただきたいのですが、いつがご都合よろしいですか?』
「明日の月曜でしたら、十八時半以降にお伺いできます。火曜日は午後からならいつでも」
『そうですねぇ、では、明日の十八時半でお願いします』
「わかりました。ありがとうございます」
『こちらこそ。奏美さんの演奏をうちで提供できることをとても光栄に思います』

 なんてありがたいお言葉だろう。胸がじぃんと熱くなってきた。

「お電話ありがとうございました」

 そうして挨拶を交わして電話を切ったあと、私は天井を見上げて瞬きをした。

 さっきまで気持ちは地の底まで沈んでいたのに、今は天まで上っている。
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