イケメン御曹司のとろける愛情
真緒ちゃんの声が聞こえ、私は一分待ってから売り場をそっと覗いた。店の自動ドアが閉まって、翔吾さんの背中がガラス戸の向こうに遠ざかっていく。私はホッとして真緒ちゃんに声をかけた。
「もう上がっても大丈夫?」
「はい、大丈夫でーす」
「山本さん、お疲れ様でした」
真緒ちゃんに続いてアルバイトの女子大生に言われ、私はうなずいた。
「それじゃ、お先に」
タイムカードにスタンプを押し、更衣室でチャコールグレーのパンツスーツに手早く着替えた。従業員通用口から外に出たとたん、思わず息を呑む。
だって、前の廊下の壁に、翔吾さんがもたれて立っているんだもん! 彼の鋭い眼差しと視線が合ってしまい、心臓が喉元までせり上がってきたみたいに息苦しい。
だ、大丈夫、落ち着こう。私は地味子・山本だから。
さりげなく視線を外して彼の前を素通りした。つもりだったけど、後ろから左手首を掴まれた。
「な、なんですか」
驚いて振り返りながらも、右手でメガネのフレームに触れて目を合わせずに低い声で言った。
「もう上がっても大丈夫?」
「はい、大丈夫でーす」
「山本さん、お疲れ様でした」
真緒ちゃんに続いてアルバイトの女子大生に言われ、私はうなずいた。
「それじゃ、お先に」
タイムカードにスタンプを押し、更衣室でチャコールグレーのパンツスーツに手早く着替えた。従業員通用口から外に出たとたん、思わず息を呑む。
だって、前の廊下の壁に、翔吾さんがもたれて立っているんだもん! 彼の鋭い眼差しと視線が合ってしまい、心臓が喉元までせり上がってきたみたいに息苦しい。
だ、大丈夫、落ち着こう。私は地味子・山本だから。
さりげなく視線を外して彼の前を素通りした。つもりだったけど、後ろから左手首を掴まれた。
「な、なんですか」
驚いて振り返りながらも、右手でメガネのフレームに触れて目を合わせずに低い声で言った。